・スパイラルでスパイラル その2

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 やっと見つかったのは、古びた唐草模様の風呂敷でした。

 行き先は表参道のド真ん中にある交差点。「骨董通り」に近いとは言え、今時コントでも見ない泥棒柄の風呂敷を持って待ち合わせとは…。しかし、他に風呂敷はありません。梱包しなおしてロープで結ぶのも大変です。仕方なく、私は唐草の大きな風呂敷包みを抱えてタクシーへと乗り込みました。  

 表参道の交差点は、いつものように賑やかです。歩いているのは、ファッショナブルな人ばかり。そこに泥棒風呂敷を抱えたムサい男が1人登場…。ここで先方に電話することに。「あのー、詳しい場所がわからないのですが、どの辺で待ってましょうか?」「えー、そこから少し歩いたスパイラルの前で待ってて下さい。今行きますから」。ご存じの方も多いでしょうが、スパイラルというのは現代美術系のギャラリーやホール、CD・グッズショップ、レストラン、ヘアサロンなどがあるアート&ファッションの大型施設です。行き交う人の視線を感じつつ風呂敷を抱えてトボトボ移動しましたが、ほんのちょっとの距離が非常に長く感じられました。

karakusa.jpg 私はファッションに疎く、見た目もあまり気にしません。が、さすがに視線を集める風呂敷がちょっと恥ずかしくなってきました。しかも、目の前にあるのはアート&ファッションの代表的施設である「スパイラル」。「スパイラルかぁ…、スパイラル?」。スパイラルというのは、確か「螺旋」とか「渦巻」とか、そんな意味だったと思います。そして、私が抱えた風呂敷の模様も「スパイラル」。向こうはオシャレなスパイラル、こっちは泥棒柄のスパイラル。何とも言えない取り合わせに、笑うというよりもなぜか気が抜けていく感じがしました。

 しかし、次の瞬間ドキッとする出来事が。何と、私の方に向かってパトカーがやってきたのです…。
※その3に続きます

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