・スパイラルでスパイラル その1

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 つい先日の、ちょっとだけ恥ずかしい話(?)です…。

 古美術商の商売は、ある意味「情報」の商売と言えるでしょう。情報といっても色々な意味合いがあるのですが、例えば、手持ちの在庫がなくても、ある人が○○という品を売りたがっている~ある人が○○という品を買いたがっているという情報を持っていれば、間に入る~手数料を得るだけで仕事になるのです。

 先日も、某古美術商からある商品を売れないものかと頼まれました。普段扱う品とは違いましたが、運良く私はそれを探している業者を知っていたのです。先方に話を振ると是非欲しいとの返事。商談は、珍しいくらいトントン拍子に進みました。また都合の良いことに、品を持っている人の事務所と、買おうとする人の事務所は比較的近所。商品はちょっと大きな物&ガラスケースに入っていて双方とも送料や破損の心配をしていましたが、私が梱包~直接運ぶことを提案するとどちらもOKの返事。送料くらい小さいようですが、浮くとなればお互いちょっとお得です。手持ちにする事で破損の心配が減ったこともあり、商談は短時間で成立しました。

 ただ、重さは何とかなりそうなものの、荷物自体はかなりの大きさです。移動はタクシーを使うとして建、どうやって手で持てるようにしようか…(双方とも事務所がマンション内で、荷台もありませんでした)。しかし、こういうときに便利な道具を古美術商は必ず持っています。それは「風呂敷」です。

karakusa.jpg 風呂敷はとても便利なグッズです。たためば小さくなりますし、物を包めばある程度大きな物でも手で持てるようになります。外出中、裸の陶器(もしくは、梱包の甘い陶器)を扱う際は簡易の梱包材となりますし、木箱や手提げの中で品物がガタつかないよう詰め物代わりに使うことも。よく骨董市で買い物する方は、気に入ったデザインの風呂敷をカバンに1枚入れておかれると良いでしょう。包む・結ぶ・詰める…。思わぬところでとても役に立ってくれるものです。

 話を戻して、私はそのデカブツを手で持てるようにするため、売り手の古美術商から風呂敷を借りることにしました。が、対象物は大きい上に横長で、全体を包んでからギュッと結べる大きな風呂敷がなかなか見つかりません。しばらく探して、ようやく「あった!」との声が。しかし、出てきたのは使い古して汚くなった、深緑に唐草の「泥棒柄」でした。 

 いや、運ぶだけならこれで構いません。柄など特に気にすることもないのでしょう。が、先方との待ち合わせ場所は、「ファッションの街」表参道のド真ん中にある大きな交差点だったのです…。
※その2に続きます

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