・テレビの特集に思う その2

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 前回の続きです。相変わらずニュースの特集を見ていたわけですが…。

 映像を見ていて嫌な気分になったのは、同行していたスタッフがしつこく「値段」を聞きまくっていたことです。確か、他局のニュース~特集でも、リポーター(芸能人)が不躾な言い方で「これいくら?」と連発する場面を見たことがあるのですが、もうちょっと品物そのものについて訊ねるとか、由来について聞くとかできないものなのでしょうか? もっとも、ニュースの1コーナーとは言え「バラエティ」。値段こそがネタなのでしょうが…。 

 そして、今回の放送でも相変わらずの質問が繰り返されました。「それ、いくらするんですか?」「この建物にある在庫は総じていくらですか?」。またそれがタイミング外れというか、的外れな聞き方なのです。そしてこの業者が答えないと、すかさずナレーターが「相変わらず値段を言おうとしないが…」とのコメント。いかにも「儲かる物だから答えない」「手の内を見せない」とでも言うように…。

 が、私の見るところ値段を聞いていた品にそれほど価値のある物はありませんでした。それに、建物内にある在庫の総額など、いきなり聞かれてもわからないでしょう。細かく見たわけではないので何とも言えませんが、値段を聞かれた品や倉庫にあった品の多くにそれほど大きな価値がないというのを、この方は自認していたのだと思います。「いくらですか?」と聞かれ、「2千円です」と言ったところでシラケるだけ。だいたい、そんなに高い在庫・売れる在庫があったら床になど積んでおかず、とっくの昔に売っているはずです(事実、この方が「当てた」という数百万の茶碗は、既に売ったという話でした。真偽の程は何ともわかりませんが…)。これも、「計算できる人」ならすぐにわかることでしょう。

 それともう一つ。いろいろ言われていますが、日本人と言うのは本来お金に清潔な人種です。そして、良くも悪くも自分に関するお金の話というのは外に出したくないもの。「商品」として店頭に並んでいる物の売値を聞くならともかく、「いくらで仕入れたんですか?」「持っている在庫は全部でいくらくらいですか?」と聞くのは、その人の給料(利益)や資産を訊ねるのとある意味同じことです。まして、テレビカメラに向かってそれを話せというのですから無神経にも程があります。このスタッフは、スーパーやコンビニで品物を買う場合にも仕入れ価格を聞くのでしょうか?

 ただ、こういった首を傾げたくなる報道の中にも「真実」がありました。北関東の一般参加型骨董市で、この業者が商品を売っている映像を流したのです。トラックの荷台から品を出す~一般の方へ競りにかけるというものでした。放映時にある程度編集はしているでしょうが、映像をそのまま流せばこれほど正確なものはありません。買出し時の映像もあった大きな火鉢は落札価格2千円。某有名作家のブロンス(数物&箱無)は3千円でも声が掛からず、「2千円」と言った人に「5千円で買ってよ」とお願いして何とか買ってもらっていました。着物の束は、オバサンが強気に競って周りもちょっと驚く2万円。それでも、買取映像の際に流れた「高い物なら数十~百万」などというナレーションとは程遠い落札価格です。そして、これが紛れもない現実でした。

 そこで売られた商品は、ほとんど数千円、良い物でも1~2万円くらいだったと思います。高い物があれば、間違いなくその映像が流れたことでしょう。「こんなに儲かりました」とばかり、笑顔の業者をアップで映したはずです。しかし、ついにそういった場面は流れませんでした。もしかしたら、高い物は分けておいたのかもしれません。その業者が取材陣に全ての仕事を見せていない可能性もあります。が、実際の競りや落札価格を見て、同行していた局の人もようやく気付いたことでしょう。思っていたよりも、遥かに儲からない仕事であると。

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コメント

 以前バイトしていた料理屋へ手伝いに行ったとき、最近は何のバイトをしているのかとオーナーが尋ねてきました。「骨董屋でバイト」と言うと、「胡散臭いなぁ」と返してきました。
骨董屋の何を知っているわけでなしに、疑いもせずそんなことを言える人間こそ胡散臭さの塊です。 わたしも気をつけねば・・。

 逆に「きれいな商売で結構ですね」などと言われても、返事に困ります。笑

 裏手で懸命に品物についた汚れを落としたり、倉庫のゴキブリと闘う姿を思うと、「きれいな商売」が笑えてきます。お客さんにそんなことは想像していただかなくて結構ですが。笑

 いつの頃からか、労働して賃金を得ることよりも、品を売って利益を得ることの方がわかりづらい、胡散臭いものとみなされるようになったようです。 一般的に価値のわかりづらい美術・骨董品の売買では、尚更ということなのでしょう。 

 綺麗な美術品でも売るまでに手間をかけ、汚れを落とすなどして販売することは多いですね。しかし、ゴキブリはともかく(笑)、こういった手間を察していただけるのは有難いことなのかもしれません。 

 以前、ある食べ放題の焼肉店でバイトしていた友人が、「調理場の肉の上で、ゴキブリが大量に走り回ってたよ」などと話していた事があるのですが、さすがにこちらは想像しただけで恐ろしくなりました…。   

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