・わかっていながら… その4

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 前回の続きです。私は、売れなかった大皿を再出品することにしたのですが…。

 しかし、スタート価格を少し下げたにもかかわらずこの大皿に入札はありません。買値以上に設定してはいますが、相場からすればどう考えても「激安」。それが、またしても不落札となってしまったのです。
   
 この時点で「古美術商相手に売ろう」と考えたのですが、何度かネットオークションに出していたため少し間を置くことに。ネットオークションを見ている業者も多いですし、品物は人の目に触れてしまうと「新鮮味」がなくなるものです。しばらくしてから流通させた方が、多少は商品の目新しさを取り戻せると思ったのですが…。

 相応の期間が過ぎても、私はその大皿を売りに出しませんでした。忘れていたわけではないのですが、「すぐ儲かる」と思っていた品が上手く売れずに良い印象がなかったのと、「また売れなかったらどうしよう」という思いが、何となく売るのを躊躇させていたのです。また、売らないうちに物置の奥に入ってしまい「出すのが面倒」という全く怠惰な理由もありました。2、3ヶ月したら売ろうと考えていたその大皿は、結局長期間物置の中で眠ることになったのです。

 それから3年くらい経ったでしょうか? 私は、新たに仕入れた品に加え、しばらく持ち続けていた陶器をまとめてある一般参加型のオークションへ出品することにしました。「ニセモノ」とか「キズモノ」で失敗するケースはあまりないのですが、高く買ってしまったり、売れない品を仕入れてしまうことは恥ずかしながら今でもよくあるのです。そして、物置の奥にしまってあったこの大皿も出すことにしました。

 ずっとしまっておいて何ですが、大皿はスペースもとりますし、ともかく「もう処分したい」という感じになっていました。その一方、「一般参加のオークションだし、成り行きだから競りも発生するだろう」との考えも…。大皿の作者は現在でも人気作家ですし、心の中では大きな利益を期待していたのです。
※この話の「その5」は『裏美術売買』に掲載します。

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