・バブルどころじゃない現代美術 その2
今回の記事で「バブルどころじゃない」と書いているのは、いま現代美術界で人気がある40代を中心とした日本人作家や、その下にいる若手作家の話ではありません。こういった作家の品は、前回の記事に書いた当時のオークションで1万円~10万くらいだったものが、現在10万~100万、あるいはそれ以上になってます。これは現代美術に詳しい方なら周知の事実で話題にもならないでしょう。
そういった作家の話題を書くと別の記事になってしまうため、当記事では触れません。今回の記事に出てくる現代美術品は、現代美術の中でもある意味普遍的な、一般的に知名度が高い作家の品です。
例えばアンディ・ウォーホル。言うまでもなく彼は、バブル当時もあるいはそれ以前からも評価の高いアーティストではありました。しかし、ここ何年かだけ見ても世界的に、そして爆発的に作品の相場が上がっているのです。先日話をしたある業者などは、少し前に取引して大きく儲けたウォーホル作品を「あと半年待ってりゃよかった…」と後悔するほど。正直、こんな上がり方も珍しいでしょう。
ウォーホル作品でよく流通しているのはシルクスクリーン。ただ、以前はそのまま飾られていたケースも多く、画鋲の跡があったり丸められたりと状態の悪いものが案外多いです。先日、某国内オークションに出品されたシルクも、正直くたびれた感じで飾るには厳しい状態。にもかかわらず「ええーっ」という価格で落札されていました。ある程度有名な図のシルクではありましたが、もう作品自体が「争奪戦」といった感じなのかもしれません。
オークションの驚異的な落札価格が度々ニュースとなるように、いま美術品の売買は世界的に好調です。前回の記事で、現代美術は「景気や相場といったものが色濃く反映する」と書きました。ウォーホルの作品はそういった範疇にある作品であることに加え、例えばゴッホやルノワール、ピカソといった画家と並ぶ「スタンダード」にも成り得たということなのでしょう。※当記事では短絡的にまとめておりますが、世界的な景気と現代美術、投資と現代美術の話は既に『裏美術売買』である程度記事にしております。
以前、画廊に置いてあったカタログで見たウォーホルの落札価格は、確かに「いやー、高い時期もあったなぁ」という感じのものでした。が、今となっては、お買い得価格に見える品さえあります。そして私は、この画廊主の話に日本国内でのちょっとした騒ぎを思い出していました。「今となっては、あの作品もあんな値段じゃ買えないよねぇ…」。
※その3に続きます
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