・美術、骨董品の梱包 その4
以前、あるアートイベントで絵画を買ったことがあります。若手作家による共同イベントで画廊やショップを介しておらず、お金のやりとりや発送等の段取りも全て作家本人が行っているようでした。
この作品は「紙」ではなくソコソコ大きなキャンバス作品でしたが、額装されているわけでもなくキャンバス地はペラペラの状態。展示期間終了後に発送してくれるとのことでお願いしたのですが…。
後日送られてきた作品を見て目が点になってしまいました。何と、キャンバスを模造紙1枚で軽く包んでいるだけなのです。無事に届きはしましたが、何かの角にぶつかったり力が加われば簡単に傷ついてしまう状態。作品も頭の部分がそのまま飛び出ており、梱包されているというよりも大きな紙袋にそのまま入れたという感じです。
届いたキャンバスを見た私は「こんなのでよく無事に届いたなぁ…」と思う反面、あまりにもメチャクチャで中身が丸見え状態だったからこそ無傷で届いたのかな? という変な感想も持ってしまいました。例えばこれを陶器に置き換えて考えると、大きな壺にそのまま荷札を貼って送るようなものです。「コワレモノ」「取扱注意」などといったシールを貼らずとも、これほど明確にわかる「コワレモノ」「取扱注意品」はないでしょう。普段品物を投げるようなドライバーがいたとしても、これでは慎重にならざるをえないといったところでしょうか?
厳重に梱包したにもかかわらず壊れてしまった美術品も存在すれば、ほとんど裸状態にもかかわらず無事に届いた絵画もある…。美術・骨董品を発送するには、厳重な梱包が必須です。しかし、いくら丁寧な梱包を施しても、送り手による扱いの良し悪しが大きく影響するということを再認識した出来事ではありました。
※同時掲載として、『裏美術売買』に「私の梱包道具」「私の梱包方法」という2つの記事をアップしております。
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