・ネットオークョン哀歌

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 最近あまり利用していないネットオークションですが、ある美術品の相場を調べるため久しぶりに覗いてみることにしました。

 ザァーっと見ましたが、陶器を中心とした美術・骨董品が安いですねぇ。例えば「作家物」。もうビックリするくらいに安いです。価値の高い品、珍しい品にはある程度の値が付きますが、結構有名な作家による品でも「よくある品」「需要(用途)のない品」は、泣けてしまうような価格で取引されていたりします。

 そんな中、たまたま出品されていたある花瓶に目が留まりました。作者は有名…というわけでもありませんが、一応名前のある人です。共箱もありますし、小さくて地味ながら飾るには良い品。商品として気になるわけではないものの、もうすぐ終了時間だったこともあり「いくらくらいするのかな?」と、落札価格を追ってみることにしたのです。で、この花瓶。皆さんおいくらだった思いますか?

 500円、500円ですよ。たったの500円…。しかも、それが「不落」です。500円というのはスタート価格で、つまり「入札0」だったのですが、その後の再出品でも入札はありませんでした。500円と言ったら、同じネットオークションで扱われる中古CDや古本くらいの値段でしょう。そして、よく見るとそういった値段の「美術品」は珍しくないようでした。

 この花瓶、デパートや個展の発表価格は数万程度したはずです。美術品の価格というのはそういうもの。表現は変かもしれませんが、安過ぎては有難味がありません。作家も個展や展覧会、あるいは大学教授などで活躍しながら、売っている作品が安くては格好がつかないでしょう。ところが、それが古物になってしまうと場合によっては500円になってしまう(しかも売れない)…。

 ネットオークションには、「お宝」と呼ばれる美術品が際限なく出され続けています。が、「評価額」「鑑定額」といっても、純金や小切手と違い美術品は流通する商品。物の値段は需要と供給によって決まるということを、500円でも売れない花瓶はわかりやすく教えてくれているのかもしれません。

※なお、現代美術品の相場も昨秋から大きな変動が見られますが、この原因は全く別のところにあります。これについては美術業界全体やオークションの裏話と絡め、次期『裏美術売買』スタート時に特別長編記事を掲載予定です。まだ時間は掛かりますし頓挫するかもしれませんが(汗)、今しばらくお待ち下さい。

 また、当サイトでは(更新していないときでも)皆様からのコメントをお待ちしています。記事のご感想に関わらず、時節の話題や骨董・現代美術の話がありましたら、コメント欄よりお気軽にご投稿下さい。

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コメント

お久しぶりです。私は京都在住ですので結構お茶関係が盛んな土地柄ですが、露店でも骨董市でも、在銘、木箱入りの抹茶茶碗(それほど有名では無い作家達だとは思いますが、一応は作家です)が、1000円均一で山のように出ています。業者に聴くと、市でダンボ-ル一杯で競り台に上がるが、落とす人は少ない・・・・とのことでした、つまり売れないと言うことなのでしょうか・・・・・・・・・。箱や作家紹介文の無いような物はゴミ扱いとか・・・・・。要するに中途半端な物だと言ってしまえばそれまでなのですが。わたしも時々手にとって良いと思っても、あまり安すぎるので躊躇するときが有るのは、きっと同じ気持ちでしょうか。

最近特に思うのは、物(美術品等)には絶対的な価値(価格)なぞ存在せず、「物は需要と供給の関係でのみ価値(価格)が決まる」ということなのでしょうかね。誰もいらなかったらゴミとなるということです、作る人には申し訳ないのですが、ちと寂しい話です・・・・・・・・・・・・・・・。

 更新していないので寂しいページになってしまいましたが、いつものように雲さんからコメントをいただき、本当に有り難く思います。

 近年、西の方の市には行っておりませんが、どこも同じようなものですね。箱に入った作家の品や窯元の品が、山となって数千円。そしてネットオークションを見れば、毎日数え切れないくらいそういった作品が出し続けられています…。

 ただ、それらの中に良品が少なくないのは事実。出来の良い品、使って楽しめる品、飾って楽しめる品は多いでしょう。そういった品が露店で1個千円なら、私も商売抜きで買ってしまうかもしれません。が、「商売抜き」でない状況なら、やはり山で千円・2千円でも買わないんですよね…。

 美術・骨董品の多くは一点物(あるいは数の少ないもの)であり、持つ人によっては「お気に入り」という付加価値も加わるでしょう。価値を踏むのはその人その人です。が、古美術店や骨董市しか品物を見られなかった一昔前と異なり、今はネットオークションで素人・業者関わらず誰でも手軽に売買できる時代。物が出され続け、作り続けられる。その「うねり」の中に、まず需要のない品、有名というわけではない作家・窯元の品が飲み込まれ、続いて中堅作家・有名作家の品でさえ、それに引きづられつつある状態となってきました。

 悲しいかな、末端にある5百円や千円の品は、そういった状況の産物ではあるのでしょう。

私はイギリスのオークションをいつも見ていますが、おっっ!と思うものは必ずと言っていいほど注目されています。

人気がなくても、味わいがあっていい焼きものだったら安く買って楽しみたい気になるこの頃です。

でもPC画面を見て骨董品が集まっていくだけというのも、、、やはり出会いと交流のある骨董市もなくなりはしない気がします。

 コメント有難うございます。

 良い物・珍しい物にはちゃんと値段がつくんですよね(それが高いか安いかは別の話として)。コレクターからすれば、気に入った物を(できれば安く)手にするというのは正しい感覚だと思います。骨董市も、それ自体1つのイベントというか楽しみですしね。私も、仕事ではなく集めるだけなら「買いやすくなったなぁ」「手頃な値段でいろいろ楽しめるなぁ」と実感できたことでしょう。

 これが仕事となるとそうも言えないのがツライところ。全ての品がそうとは言いませんが、何しろ売ってもその価格なのです。良い物を安く仕入れるチャンスもあるのですが、やはりコレクションするのと仕事で売買するのでは違いがありますね。

 ただ、評価に関わらず「気に入った物を買う」というのは、美術品購入の基本でしょう。私も、流れに惑わされないよう「物」そのものを見て買い入れようと思います。

ヤフオクで過去にかなり買いました(どういう訳か売ったことは有りませんが)。その素人の経験から、割高になってでも欲しい品物で特定の人とせり上がっていった場合に、せり相手の過去の取引情報から相手を①プロで良い商品のみ購入する方②プロで安ければ何でも買う方③素人の本格的コレクター、マニアの方④素人で安ければ何でも買う方⑤その他情報不足で不明の方、に分類します(過去の売買履歴が調べれるのは便利ですね)。
この中で③の相手とは、自分の設定価格以上になったら、深追いはせずに降りる事にしています。深追いして過去に痛い眼に何度かあいました(笑)。
また特定の販売者の時に頻繁に高値入札をするサクラにも注意を払う必要がありますね。しかしこういう取引も、素人にはゲームとして楽しめるからいいのですが、プロは売れる価格で仕入れないといけないので、大変ですね。
あっそれと、ゴミ同然の商品の安物買いばかりしている素人として言いたいことは、ヤフオクで一番儲けているのは、宅配便の運送屋じゃないかと・・・・・・(笑)。
またくだらないことを書き込みました(謝々)。

 ここのところ新規投稿をしておりませんが、こうして書き込んでいただけるのは有り難いですね。

 ちなみに、私はIDを2つ持っていてどちらのIDでもオークションに参加しています。勿論、サクラで吊り上げるためではありません(笑)。以前の記事で書いた通り、私は下からではなく「その価格で売れればOK」という価格から出すことが多いで、サクラは必要ないのです。IDを2つ使うのは、出す品によって…ということが多いでしょうか? ですから①と②、③と④は同一人物のケースもありえますね。

 もっとも、オークションの場合はID一つ一つが人格と言うか個人みたいなものですから、参加者として判断する場合はその先にいる人物など関係ないのかもしれません。

 最近ネットには出しておりませんが、そろそろ倉庫の在庫(安物…)でも処分しようと思います。知らぬ間に、雲様と取引していることがあるかもしれませんね。

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