・企画画廊・貸し画廊 その6
「画廊で作品を発表したい」「プロのアーティストとしてを個展を開きたい」。しかし、手段がわからない方も多いでしょう。
手っ取り早く個展を開催したいなら、貸し画廊を借りるのが簡単です。これなら確実。お金は掛かりますが、誰でも展覧会を開催できます…。
と書いて、お気づきの方もいるかもしれません。貸し画廊で個展なりグループ展をやるのはごく一般的ですし、そこからチャンスを得た作家もたくさんいます。ただ、この「誰でもできる」という点で評価につながらないケースもあるのです。評価の高い貸し画廊もたくさん存在しているとは言え、作家のプロフィール~展覧会履歴を見てレンタルスペースのような画廊の名前ばかりが並んでいると、コレクターやアートファンから「評価の高いところから声が掛かってないのかな?」と思われるケースも出てきます。
「アーティストなら、経歴や活動内容ではなく作品で勝負」と考えるのもわかりますが、プロとして活動するなら明確なプランや自分の「ブランディング」が必要になってくるでしょう。例えば「どこでもよいから展覧会を開く」という考えから「この画廊で展覧会を開く」という考えを持つことなどが大事になってきます。
私も今、ギャラリーに関る仕事をしていますが、この辺りを全く考えていない作家が非常に多いです。趣味として活動するならともかく、プロとして活動するなら将来を見据えた活動の方向性や、それに合ったフィールド探しが重要。画家であれば、ただ絵を描くだけ…というのは理想なのかもしれませんが、現実的にはある程度のセルフプロデュース能力を持つことが必要でしょう。
当然ながら、普段から有力な画廊を周る、ネット等で調べておくというリサーチ能力も大切です。また、気になった画廊の主人に声を掛け、作品を見てもらうのも良いこと。私が関わっている画廊にも、よく「作品を扱って欲しい」と連絡があります。そういう方の作品を見てアドバイスするのも画廊の仕事だと思いますので、まず声を掛ける~アポイントをとってから作品を見てもらうようにしましょう。
ただし、企画画廊は画廊側が作家をチョイスし、経費も負担して個展なりグループ展を開催します。ハードルの高さが存在しているのは覚悟しなければなりません。企画画廊が、すぐに「展覧会やりましょう」となるのは、よほどの場合です。それでもチャンスは作れますので、臆せずに声を掛けて下さい。
※1つ注意。いろいろな作家から聞くことがあるのですが、「あなたの作品は素晴らしいです。是非、私の画廊で個展を開きませんか?」と声が掛かったりメールがくる→喜んで聞いてみると「1週間・10万円です」などとお金が掛かるケース。
つまり貸し画廊の営業なのですが、このオファーが「誰でも構わない単なる営業」なのか「貸し画廊なので経費は必要になるが、作品が気に入ったのでよければ展覧会をやって欲しい」という好意的なものか、判断が難しいところです。ここではあえて私の意見を書きませんが、こういった誘いがきた場合は、そのギャラリーで行われた過去の展覧会などを調べ、自分の作風とギャラリーのカラーが合っているかを調べるのも大切。もしお金があって「1つのチャンス」と思うなら受けてもよいですし、過去の展覧会~ラインナップと自分の作風がマッチしないようならスッパリと断った方がよいかもしれません。
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