・売れづらくなってきた掛け軸
長い不景気のせいかもしれませんが、美術商間の売買で値段が付きづらくなってきたように思える商品もあります。
代表的な物として、ある意味骨董品の代名詞とも言うべき「掛け軸」を挙げなくてはなりません。
勿論、誰でも知っているような有名作家の作品はオークションでも高く取引されます。が、その世界ではソコソコ名の知れた作家や、中堅作家の作品に値段が付かないのです。
絵画そのものが売れづらいというわけではありません。むしろ、洋画の世界はある程度相場が安定~オークションでは落札価格が回復傾向にあるようにも思えます。それよりも、昨今の住宅事情から掛け軸を飾る所がない・部屋の雰囲気に合わないというのが本当のところでしょう。そもそも和室自体が少なくなっていますし、床の間のある家はさらに少なくなっています。縦長タイプが多く飾りにくい、シミなどが発生しやすく保管しづらいという面もあるでしょう。
それでも「日本画~掛け軸」というのは本来非常に魅力的な商品です。もし気に入った物で安く手に入る作品があれば、一幅買ってみるのも良いでしょう。誰でも知っているような超有名作家の物ではなく、中堅クラスの画家の品なら思いのほか安く手に入るかもしれません。逆に言えば、所持している掛け軸の(金銭的)価値にも注意が必要。作家全員が一様に安いとは言いませんが、ソコソコ名のある作家でも古美術商が実際に取引する値段はほんの数万程度だったりするからです(勿論、本物を扱っての話です)。これは、掛け軸だけでなく陶器や他の商品などについても言える話ではありますが、居住・生活スタイルの変化や世代によるニーズを考えると、掛け軸の需要が今後どうなっていくのか、ちょっと注目してはいるのです。
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