・2021年の美術売買
今年もほぼ更新せず…でしたが、年末の記事を掲載したいと思います。
今年は親の入院・介護という、今まで「他人事」と思っていたことが自分に降りかかった1年になってしまいました。
介護というよりは病院や役所通い、施設探しといった作業が多く自宅で介護されている方に比べれば遥かに負担が少ないのですが、自宅で介護できないくらい状態が良くないというのも事実。何が何だかわからないまま次々と手続する…そんな日々だった気がします。
そういうわけで、古美術商としての活動は抑え気味になってしまいましたが、最近やたらネットオークションで「怪しい品」を見る機会が多くなりました。もちろん、以前からこういう品は少なくないのですが、私が主に扱っているジャンルの品に大量の「?」が出品されているんです。以前は、ごくたまにあるくらいで、こんな大量に出品されていることなんてなかったのですが…。
しかし、それらは写真だけでも見分けることができます。例えば、作家物であればちゃんと共箱になっているか、共箱になっていても箱書の文字や箱の具合が合っているかどうか、品そのものを見る前に状況で見分けるポイントは多数あります。今はネットで本物の箱書もたくさん見られると思うので、よほど精巧に作られた贋作でなければ大多数は比較的容易に弾けるでしょう。
古陶磁であれば、例えば伊万里なら珍しい図・人気のある図・凝った図の品ではないか、あるいは出品者のオークションにそんな「名品」ばかりが出品されていないか…そういう状況証拠だけでも真贋を見極めるポイントとなります。古陶磁の名品・珍品ばかり、毎回毎回出品できるわけがありません。
また、いま現在作ってる「古陶磁写し」や「作家写し」を、そうと説明せず(あるいはオリジナルとして)ネットオークションに出品しているケースも以前に増して見掛ける気がします。このブログを読んでいる方は引っ掛からないとは思いますが、こちらも十分お気を付け下さい。
美術品売買の場も「対面」から「ネット」の機会が増え、相手の顔が見えなくなってきています。以前の記事で書きましたが、美術品だからこそ必要な有機的な取引というのも大切だなと…考えずにはいられません。無機的な取引が増え、その代表かもしれないネットオークションに「いい加減なもの」が目立ち始めてきた感じでしょうか?
それでは皆さん、良いお年をお迎え下さい。
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