・良品なのに… その1

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 少し前、ネットオークションである有名陶芸家の「箱書が無い作品」が複数出回っていることに気づきました。それは、私が追い求めている陶芸家の品だったのですが…。

 この陶芸家の作品は私もよく扱っていて、特に評価が高いのはオブジェ。ただ、陶芸家なので湯呑やぐい呑といった器もたくさん作っています。オブジェは魅力的なものばかりですが高額の上に数も多いというわけではなく、私は駆け出しの頃からよくこの陶芸家の湯呑やぐい呑を見つけては同業者に売ったり、場合によっては自分用にしていました。ある程度高額で取引される作家なので、湯呑やぐい呑1つでも商売になったのです。

 この作家はずいぶん前に亡くなっているのですが、息子さんがいて裸の作品でも鑑定・箱書してくれました。が、近年になってどうも鑑定が行われていないようなのです。「ある程度の時期まで奥さんや息子さんが鑑定~まだお元気にも関わらず急に鑑定をやめてしまう」というパターンは結構ある気がします。

 理由はそれぞれのようですが、今回と別の陶芸家のケースで言えば、持ち込まれる作品にニセモノが多すぎる上、ニセモノのデキが良い場合も多くなってきて奥さんや息子さんでさえ判別できなくなり鑑定・箱書をやめてしまった…と聞きました。

 さて、冒頭に書いた作家の作品ですが、それらのほとんどは「裸」つまり箱無でした。近年になって息子さんが箱書していないのですから、裸の作品が流通し出すのはわかります。しかし、作品が少し変なのです。確かに見た目はその作家の作風ですし作品そのものも悪くありません。とは言え、ある時期になって急に複数出回ったことに加え、その作家としては(作風は似ているのですが)あまり見たことがない作品。盃(ぐい呑)や湯呑というのはたくさん作るケースが多く、パッと見で「あ、これね」という場合が多いのですが…。

 そして決定的なのは、それらの盃の多くに見慣れない窯印のようなものがあったことです。中にはその作家がよく使う印や銘が入ったものもあったのですが、こうなってくるとそれらの品も疑問を持たざるを得なくなってきます。

 それからしばらくして、私はそれらの作品の正体を知ることになるのですが…。

※その2に続きます

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