・良品なのに… その2
ある時期ネットオークションに複数出品されていた「箱のない巨匠の作品」。しばらく気になっていたのですが、ついにその正体を知ることとなります。
ちなみに今回話題にしている「巨匠による箱無作品」。実は、ずいぶん以前からごくたまにネットオークションで見掛けてはいたのです。その時の出品者は別の人だったと思いますが、いくつかタイプはあるものの作品自体は今回の品とほぼ同じ。その巨匠らしい作風で、やはり見慣れない窯印のようなものが入っていました。
しかしその時も今回も、その陶器が巨匠の作なのかどうかわかりませんでした。ネットオークションには巨匠の作として出されていたものの、箱無に加え疑問に感じるような品には入札できません。安ければ勉強用に…とも思えますが、箱無と言えど巨匠の作ということで結構な金額で出品されていたのです。
私は前回の記事で「この陶芸家の作品は私もよく扱っていて…」と書いています。「それなのに画像で判別できないのか?」と思われるかもしれません。その通り、私の知識不足が判別できない最大の理由でしょう。しかし、見た目からして当の巨匠に近い作風の上、以前も、そして今回も(しかも複数と思える人が)巨匠の作として出品しています。私の知らない時期に巨匠が作成した品で、見慣れない窯印もその時だけ使われていたのかもしれません。あるいは、どこからか特注された食器が流通したという可能性もあるでしょう。特にこの場合は、箱がないのも納得できます。心のどこかでは違和感を持ち続けたままでしたが、ともかく私はその品を判別することができなかったのです。
そしてとうとう、この謎が解ける日が来ました。私は、この巨匠の箱無作品を複数、そして何回かに分け出している出品者を追っていたのですが、オークションには「評価」というものがつきます。「良い出品者」とか「悪い出品者」などといったものですが、この出品者の評価は目だって悪くなかったものの、最新の評価に「悪い」がつけられており、こんなコメントが書かれていました。
「〇〇作ということでしたが、××という人の作品でした」。
なんと、別の陶芸家の作品ということらしいのです。しかし、私はその陶芸家を知りません。これまでずっと気になっていた「箱のない巨匠の作品」。私は慌ててこの陶芸家を調べることにしました。
※その3に続きます
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