・大量処分2~「捨てないで下さい」その2

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「特別シード」とも言える高額の美術・骨董品も一通り売られ、いよいよ大量の品が競りに掛けられることとなりました。  

 会主:「え~、ここからはスピードアップでいきます。ではこの大皿5枚で、5千円、5千円…」。ずいぶん(サイズが)大きな物をまとめて売るなぁとは思いましたが、どれもそれほど高い物ではありませんし、普段からこのような売り方がされることもあります。ともかく、早く処理しないと交換会が終わらないということなのでしょう。

 壺や置物等、大きな品が片付いたところで今度はお盆に載った小さな古美術品の売り番です(この間、空いたスペースにまた大きな物が次々と並べられます)。「え~、このお皿と花瓶と茶碗」。先程も書いた通りいくつかまとめて売られることはよくありますが、3つともまずまずの良品で本来なら1つずつ競りにかけられる物でした。「え~、次は、○○作のお皿と、このティーカップのセット…」。お皿は良品なのですが、ティーセットは普通の量産品で美術商が扱うような品ではありません。しかも、箱に入って持ち運びのしやすい皿と違い、ティーセットは裸の状態。何客もあるので梱包が大変です。「ティーセットがなければ買っても良いけどなぁ」という声も聞こえましたが、会はどんどん進んでいきました。そして大量の古美術品や日用品を処分するため、この「抱き合わせ」がいくつも発生したのです。

 しばらくして、備前焼の徳利が出てきました。中堅作家の作で出来もマズマズ。ちょうど手頃な備前の酒器を探している人がいたので、「5、6千円くらいかな?」などと考え、買うことに決めたのですが…。

「じゃあこの備前の徳利と、ついでに徳利が50本」。ガ~ン。お目当ての徳利以外にとんでもないオマケが付いてしまいました。しかも、オマケは今どき居酒屋でも使っていないような、しょうもない量産品の徳利が25本×2箱(箱と言っても、勿論ダンボールです)。運悪く、当日私は電車で来ていました。徳利1本なら手持ちで問題ありませんが、50本となったら話は別です。会場の誰かにあげるとしても、品が貧相すぎて「いりませんか?」とも言いづらい…、と考えているうちにその徳利の競りは終わってしまいました。落札価格2千円。もし備前の徳利だけ単品で競りに掛けられたのなら、5千円程度は行ったことでしょう。急いで進められたこともありますが、不用のオマケがついて敬遠されたのは明らかでした。古美術商の会ではよく見かける光景なのですが、変なオマケが付くと値段が下がったり、「それが付いているなら買わない」という人が案外多くいるのです。

 大量処分の会は、更に続いていきますが…。

※この話の「その3」は『裏美術売買』に掲載します。

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